(使用写真:나의 아저씨 – 나무위키 (namu.wiki))
今回は、韓国ドラマ『マイディアミスター ~私のおじさん~(나의 아저씨)』(2018)について解説・考察します。
※韓国では2018年3月21日~5月17日にかけて、1週間に2話ずつ放送されました。(全16話)
#マイディアミスター 配信停止を知って∞️周目
〖ep1〗
ジアンの盗みを目撃してもドンフンは突き出さない。
それが “インスタントコーヒー” だったから。
盗んだ物から背景を察して、スーパーでは柿を買って追いかける。ジアンが祖母に1番あったかいドリンクを選ぶシーンも好き。#ユリイ韓ドラ pic.twitter.com/qcvwDhHcTD
— ユリイカ@映画垢ときどきFF16 (@yureeca_) October 21, 2023
【発表当初】タイトルから生じた “誤解”
私自身も引っかかった点だったので、【ある誤解】について先述させていただきます。
日本版タイトル『マイディアミスター ~私のおじさん~』
本作の日本版タイトルは『マイディアミスター ~私のおじさん~』です。
前情報なしにこのタイトルだけ見てしまうと、“中年男性と若い女性のラブストーリー” のように見えなくもありません。
人によってはそれに付随して、”ありがちなつまらないシーン” も思い浮かぶかもしれません。
しかし、本作は決してラブストーリーを描いたものではありません。
物語の主軸は、誰しもが共感できる人間ドラマにあります。
オリジナルタイトル『나의 아저씨(ナエ アジョシ)』=私のおじさん
実際、韓国でもひと騒動あったようです。
その概要を以下にまとめると、
【중년 아저씨의 망상 자극?】=【中年男性の妄想を刺激するのでは?】
①ドラマ放送前・放送直後に、一部のフェミニストから危惧する声が上がった。(タイトル、演者の年齢差、設定等)
②キム・ウォンソク監督は、この過剰反応に記者会見で涙を見せるシーンもあった。(批判は演者にまで及んだ)
③しかし、話数を重ねるうちに誤解はとけ、最終的には圧倒的多数の指示を獲得。
④世界的な称賛を受ける「人生ドラマ」としての地位を獲得した
(引用・参考:나의 아저씨 – 나무위키 (namu.wiki))
皮肉なことですが、このドラマは実際の制作現場にまで本作のテーマである「理不尽・不条理」が及び、それに打ち勝ったという【バックストーリー】も秘めています。
【ストーリー】他に類を見ない “ヒーリングストーリー”
ブログ前半では『マイディアミスター』のストーリーを【ネタバレなし】でご紹介します。
あらすじ
本作の【あらすじ】はこちらです。
(引用:나의 아저씨 – 나무위키 (namu.wiki))
↓
ままならない人生に耐えながら生きる三兄弟と、荒んだ人生を歩んできた女性が、互いを通して人生を癒し合う物語。
(参考:マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜 – Wikipedia)
もう少し具体的なものだと以下のようになります。
不遇な生活を強いられるジアン、無味乾燥な毎日を送るドンフン、職も家族も失ったサンフン、そして、自分の才能に失望したギフン。物語に出てくるキャラクターたちは一様に人生のやるせなさを抱えている。しかし、そんな彼らの拠り所となっているのが、同じ町に住み、同じようにやるせなさを抱えた人々との絆。……現代社会では希薄になりつつある人々の温かい繋がりを情感豊かに描き出す!
(引用:韓国ドラマ「マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~」 | BS朝日 (bs-asahi.co.jp))
主人公は “どこにでもいる普通のおじさん”=多くの視聴者
『マイディアミスター』の公式サイト(나의 아저씨 – 기획의도 (cjenm.com))には、本作の【コンセプト】が掲載されています。
先述した【あらすじ】を読むよりも、「どんなドラマか」がわかりやすく表れているので転載します。
注)Google翻訳をもとにした私の意訳です。
このドラマの登場人物は、誰もが才能を持っています。
의사 변호사 사업가와 같은 선망의 직업을 갖고 있던가,
たとえあなたが、医者や弁護士のような人から尊敬される仕事を持っていなくても、
기억력 추리력 같은 탁월한 지적 능력을 갖고 있던가,
並外れた記憶力や推理力を持っていなくても、
아예 현실세계의 어떤 구애도 받지 않는 외계에서 온 사람이던가,
どこか別の世界からやって来た超人でなくても、
어떤 식으로든 능력자다.
あなたにだって才能はあります。
ここであなたに質問です。
우리 주변에 실제 그런 능력자들이 있었던가.
実際、あなたの身の周りにそんな “ごく普通の人たち” はいますか?
있었다고 한들,그런 능력자들 덕분에 감동했던 적이 있었던가.
“彼ら” に感動したことはありますか?
사람에게 감동하고 싶다.
誰かに感動してみたい(と思いませんか)。
요란하지는 않지만,인간의 근원에 깊게 뿌리 닿아 있는 사람들.
特別ではない、(自分と同じ)ごく普通の人たちに。
ここに一人の “おじさん” がいます。
우러러 볼만한 경력도, 부러워할 만한 능력도 없다.
彼にはキャリアも、特別な能力もありません。
그저 순리대로 살아갈 뿐이다.
ただ坦々と日々をこなしているだけの “ごく普通のおじさん” です。
しかし、彼には9歳の少年のように純粋な心と、他者に流されない強さがあります。
인간에 대한 본능적인 따뜻함과 우직함도 있다.
あたたかい人の心と、誠実さも持ち合わせています。
우리가 잊고 있었던 ‘인간의 매력’을 보여주는 아저씨.
私たちが忘れがちな「人の魅力」を思い出させてくれる “おじさん”。
그를 보면, 맑은 물에 눈과 귀를 씻은 느낌이 든다.
彼を見ていると、心が洗われるような気がしてきます。
どこにでもいる “ごく普通のおじさん”。
허릅하고 한심하게 보이던 그들이,사랑스러워 죽을 것이다.
(このドラマを観たら)くたびれて見えていた彼らが、愛しくてたまらなくなるはずです。
눈물 나게 낄낄대며 보다가, 끝내 펑펑 울 것이다.
涙が込み上げて、ボロボロと止まらなくなるでしょう。
『マイディアミスター』をすでに観られた方なら納得の【作品コンセプト】となっています。
登場人物
本作のメインキャラクターは次の二人です。
(画像:나의 아저씨 – 나무위키 (namu.wiki)) ①パク・ドンフン(演:イ・ソンギュン) |
(画像:나의 아저씨 – 나무위키 (namu.wiki)) ②イ・ジアン(演:IU) |
また、ドンフンには二人の兄弟がおり、彼らの【サイドストーリー】も【メインストーリー】を下支えしています。
(画像:나의 아저씨 – 나무위키 (namu.wiki)) ③パク・サンフン |
(画像:나의 아저씨 – 나무위키 (namu.wiki)) ④パク・ギフン |
舞台は「後渓(フゲ)」という架空の町
【あらすじ】で先述したように、主人公をはじめとした本作の登場人物は、誰しもが人生のやるせなさを抱えています。
そんな彼らの拠り所となっているのが、「後渓(フゲ)」という架空の町(作品舞台)です。
日本の “町” を「○○町」と表記するように、韓国では「〇〇洞(동=トン/ドン)」、つまりこの場合は「後渓洞(フゲドン)」と表します。
(↑そこには上渓洞、中渓洞、下渓洞があり、「後渓洞」もありえそうなニュアンスの町名)
・周辺にはいわゆる「下町」があり、作品舞台の雰囲気とも合致する。
(引用・参考:実は大人たちの成長物語 ?ドラマ『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』 – 集英社新書プラス (shueisha.co.jp))
【第3話】までの「退屈」の理由|キャラクターのリアルさ
詳しくは後述しますが、本作では第1~3話で主人公・ドンフンとジアンの【現状】が描かれます。
ドンフンは、会社と家庭でのやるせなさに苦しんでいます。
ジアンは、その生い立ちから荒んだ暮らしをしています。
第1話でドンフンに起きる “ある出来事” をきっかけに、ジアンは暮らしを立て直すための “ある行動” に出ます。
この “ジアンの行動” によって、ドンフンはますます追い込まれていきますが、しかし、ドンフンは第3話後半まで特別な行動を起こしません。
目の前で起きる問題に抵抗も虚しく翻弄され続けます。
これが視聴者がドラマ序盤で離脱してしまう原因です。
(実は私もその一人でした)
ドンフンに対して視聴者の多くは、
・「ついていない人」
・「情けない人」
という印象を抱きます。
その結果、彼の【これからのストーリー】に期待が持てなくなってしまうのです。
ですが、それこそが制作陣の狙った “ドンフン” という主人公です。
・人がいいばかりに貧乏くじを引く。
・言葉が足りずに理不尽な叱責を受ける。
・どこかで何かを諦めていて、常に何かに耐えている。
こういう “ドンフンみたいな人” に覚えはありませんか。
周囲に、もしくは、自分自身に。
どこかで自分の人生に見切りを付けていたり、失望していたりしませんか。
だから、 “あなた” はドンフン(のストーリー)に期待ができない。
第1~3話は本作の【第一幕】であるのと同時に、そんな制作陣からのメッセージも込められているように思います。
【第一幕】間違って届いた賄賂を盗まれる【これよりネタバレ】
ここからは【ネタバレあり】で解説・考察していきます。
『マイディアミスター』の【第一幕】は第1~3話にかけて描かれます。
【第2話】不純な救世主
【第3話】嫌いになってほしい
ここでのストーリーを【要約】すると、
②↑をジアンが借金返済のために盗む
③返済に失敗したジアンは賄賂をゴミ箱に捨てる
④ドンフンは自分が捨てたことにしてほしいとジアンに頼む(=恥を隠したい)
⑤ジアンは借金返済のためにジュニョンと手を組む
⑥ジアンは “ドンウン” を左遷に追い込み、ジュニョンから返済資金を得る
↓
【第3話】ジョンヒが町に戻って来る
ここまでが【第一幕】です。
#マイディアミスター
ジアンの “黒猫感” も個人的には作品の見所♡カワイイだんだんご飯をもらった捨て猫みたいに懐いていって
〖ep9〗では “音” で帰りを知って走りだす🐈⬛でも、野良猫だから中には入れない。
大人の恥描写、猫の暗喩、他作品の暗喩…
この辺りもマイディアの凄み#ユリイ韓ドラ https://t.co/N9grgCIlsR— ユリイカ@映画垢ときどきFF16 (@yureeca_) October 28, 2023
【オープニングシーン】”テントウムシ” と “屠殺(トサツ)”
【第1話・オープニングシーン】では、社内に紛れ込んだテントウムシが描かれます。
「虫!」と社員たちが騒然とするなか、ドンフンとジアンはそれぞれ違う【リアクション】を取ります。
ジアン…テントウムシを叩き殺す
言うまでもなく、テントウムシは “幸せの象徴”(暗喩)です。
ここではつまり、
ジアン… “幸せ” を求めていない人
ドンフンとジアンの人物像を端的に表しています。
しかし、それだけでは終わらないのがこのシーンのすごいところです。
テントウムシを叩き殺したジアンに、社内の一同は呆然とします。
そして、次の【会話シーン】が描かれます。
続けて、「カエルの足を裂いて食べた」、「鶏を絞めた」、「ウサギの皮をはいだ」と部下の武勇伝が交わされるなか、
「テントウムシは殺さないのに?」と部下に問われたドンフンは、「良心の問題だよ。たかが虫でも良心が痛めば殺せない」と答えます。
また、「豚を殺した」というのも家族が食べるための屠殺(トサツ)だったことが、実演を交えて語られます。
一見【ユーモアのシーン】に見えますが、
・ただし良心が許せば殺せる人(つまり、殺せない人ではない)
↑たとえば「家族が食べる(生きる)ため」
ここには【ドンフンの人物像】がふんだんに描き込まれています。
その後、豚の代わりに実演の犠牲になった部下は、「監視カメラの映像で訴えますよ」とドンフンに文句を言います。
この一言も、ここからのシーン【ジアンの備品泥棒(を案じるドンフン)】に繋がる【伏線】となっています。
社内の状況|描き込まれた “社会のいびつ”
【第1話】では、人物だけでなく舞台=社内の状況も提示されます。
・社長(ジュニョン)の信任投票が2か月後に控えている
↑賛成派と反対派が互角の状態
・つまり、現社長のジュニョンの地位は盤石ではない
・ジュニョンが解任されれば、その配下(ユン常務)も同じく地位を失う
このため、焦った賛成派=ユン常務が先手に乗り出します。
それが “賄賂=5000万ウォンの商品券” です。
ジュニョン「リスクを冒すなら、一番手強い者を狙うべきでは?※」
※ジュニョンがいかに野心家であるかが見えるセリフ
「最も弱い者」とはもちろん、ドンフン(=パク部長)のことです。
「一番手強い者」とは、ドンフンの上司・ドンウン(=パク常務)のことです。
つまり、“ドンウン(常務)を狙おう” という【伏線のシーン】ですが、それによってドンフン(部長)の社内立場の弱さ(ジュニョンは牙にも掛けない)も描く【対比シーン】にもなっています。
そして、そんなドンフンにとどめのように、【誰が “ハズレ仕事” を担当するか】が次のシーンで描かれます。
結果はもちろん、ドンフン率いる “3チーム” が押し付けられてしまいます。
このとき「他のチームに比べて診断件数が最も少ない」ことをユン常務は理由にしますが、
ドンフンの場合、「診断件数が少ない」=怠慢ではありません。
→2階建てのビルでも、57階建てのビルでも同じ1件という理不尽
ここには数字で評価を決められる生きづらさ(作品テーマの一端)が表れています。
また【第1話・兄弟登場シーン】では、
↑つまり、安全性の低さを認められて喜ぶ業者がいる(カネになる)
伏線シーン:この時の判定を、のちにユン常務はドンフンの賄賂の動機に利用する。
必ずしも高評価が喜ばれるわけではない社会のいびつさも描かれています。
そして極めつけは、この“ハズレ仕事” 差配中に【ユン常務に掛かってくる電話】です。
何の電話かと言うと、
「5つ」=「1000万×5つ=5000万ウォン」
シナリオが手元にあるわけではないので明言はできませんが、おそらくは商品券の手配電話です。
会議中に電話を受けるだけでもユン常務の傲慢さが見えますが、
裏工作を堂々、ドンフンの面前でしているところに、いかにドンフンが舐められているかも表れています。
それぞれの盗みと目撃|インスタントコーヒーと賄賂
【第1話】でドンフンは、ジアンが「会社の備品=インスタントコーヒー」を持ち去るのを【目撃】します。
このときドンフンの取る【リアクション】は、 “見咎める” でも “告げ口” でもなく “心配” です。
これは、ジアンの盗んだものが「インスタントコーヒー」だからこその反応です。
“盗みをする=お金に困っている” なら、盗むべきものは “換金できる何か” です。
“インスタントコーヒーを盗む” ということは、“食うに困っている” ということ。
“普通の盗み” とは違うジアンの何か切実な事情を、ドンフンは直感的に嗅ぎ取ります。
一方で、ジアンはドンフンが賄賂を隠すところを【目撃】します。
(この前夜、ジアンはグァンイルからの暴行を受ける。その痣を隠すためにサングラス姿で出勤。このため、ドンフンからはこの【目撃】が曖昧で不安の加速につながる)
ここからのジアンとドンフンの【アクション】を整理すると、
【ジアン】 ①借金返済のために賄賂を盗むことを思いつく ②居座るドンフンを食事に連れ出す ③ドンフンに帰宅を促し、会社へ戻る ④掃除のおじさんに停電を起こさせ、走る ⑤賄賂を盗むことに 成功 |
【ドンフン】 ①届いた賄賂を引き出しに隠す ②持ち帰るためにデスクに居座る ③ジアンに連れ出され、奢らされる ④帰宅せず 会社へ戻るも近づけない ⑤賄賂の回収に 失敗 |
ジアンの大胆さと、ドンフンの気の弱さの際立つ見事な【対比シーン】であることがわかります。
また、ここには “責任の違い”=”子供と大人の違い” も描き込まれています。
ジアンの大胆さは、何も失うものがないという切迫した状況から来ています。
一方、ドンフンの気の弱さは、社会的立場・家庭的立場の重圧(=つまり「外力」に耐えている※)から来ています。
※「内力と外力」については【第8話】で言及されます。
誰にも守ってもらえないからこそ行動するしかないジアンと、
守るものが多いからこそ行動できないドンフン。
【第1話】では2人の主人公の違いが描かれます。
【ドンフンの目的】賄賂を隠した “必然的な理由”=親兄弟
【第1話】でドンフンに賄賂が届いたのは、完全な事故(偶然)です。
本当なら上司のドンウン(常務)に届くはずのものが、名前が似ていたがためにドンフン(部長)に届いてしまいます。
(原因:手配した業者が名前を聞き間違えて送付した…第2話)
しかし、ドンフンは単に出来心で賄賂を受け取ったのではありません。
ドンフンというキャラクターの善人性は、【第1話】の長男の娘=姪の結婚式ではっきりと描写されます。
(伏線シーン:ドンフンはご祝儀をくすねる長男と三男をやめさせようとする)
平時であれば、ドンフンは賄賂を受け取ったりしません。
にもかかわらず引き出しに隠してしまったのには、やむを得ない理由があります。
【第1話】ではジュニョンとユン常務の【陰謀シーン】の直後に、ドンフンと母親の次のような【会話シーン】が挿入されます。
理由①:無職の長男・サンフンに店(仕事)を持たせたい
理由②:実家はドンフンが買った家(だから母親はドンフンの許可が欲しい)
奇しくも、ドンフンに届いた賄賂も5000万ウォン(約500万円)。
ドンフンにとっては偶然ですが、脚本においては必然です。
母親の提示した額とぴたりと重なるところに、ドンフンが私欲のために受け取ったのではない人柄の裏付けと、ドンフンの家族愛(≒兄弟愛)が表現されています。
【第12話の伏線】実家は “誰” が買った家か
母親の家はドンフンが購入したということが【第1話】で母親の口から明かされます。
この時点では、次男・ドンフンの家族への献身を象徴する、好感の持てる【バックストーリー】です。
しかし、この【バックストーリー】は【第12話】で一変します。
つまり、この実家は “ドンフン” が買ったものではありません。
“ドンフンの家計” から、妻(ユニ)と工面した資金であったことが明らかになります。
↑母親…「自慢の息子が用意してくれた家」
↑ドンフン…「親孝行のための家」「家族が集まる場所」
このように母親とドンフンとの間では互いの思いが通じていますが、ユニは違います。
↑ユニ(嫁)…「実母の犠牲の上に建つ義母の家」
【三兄弟の実家】の裏側には、ドンフンの親孝行のためにユニの親孝行が犠牲になった【バックストーリー】が隠されています。
キャリアか、家庭か。
家族か、友達か。
自分の家族か、それともパートナーの家族か。
『マイディアミスター』では、“他人事でない二択” の難しさを、さまざまな視点から体験することができます。
【ジアンの目的】賄賂を捨てた “必然的な理由”=祖母
ジアンが賄賂を横取りした理由は明快です。
ジアンには、親の残した借金と、唯一の家族・体の不自由な祖母がいます。
それを解決するためなら盗みはもちろん、会社の上司に罠を仕掛けることも厭いません。
そんなジアンのしたたかさは、【第2話】での闇金業者・グァンイルの手下とのやり取りを通して描かれます。
①ジアンは手下に商品券で1800万を渡す。
(つまり、ジアンの借金総額は1800万ウォン≒約180万円)
②手下は「商品券は額面から10%引く。残りは180万ウォンだ」と完済を阻止する。
(闇金は貸付期間を引き伸ばすことで利益を出す。10%はそのための手下の出まかせ)
③手下がライターを探している隙に、ジアンは追加で商品券200万を出す。
(10%引くと180万ウォン=これで完済できる)
④しかし肝心の借用書が手に入らず、それどころか封筒ごと残りの商品券も取り上げられてしまう。
この時点ではジアンの負けです。
「とりあえす受け取っておいて警察に突き出す」というグァンイルの思惑通りに事は運んでいて、このままでは商品券の窃盗で捕まってしまいます。(状況悪化)
このため、ジアンには商品券を奪い返す必要が生じます。
①酒屋のトラックが偶然、グァンイルの車の隣へ駐車する。
②ジアンはトラックの酒瓶を倒して騒ぎを起こす。
③グァンイルらが車の警報に気を取られている隙に商品券を奪い返す。
④逃走の最中、友達(=ギボム)に電話で祖母を自宅から逃がすよう指示する。
そしてシーンは【第1話のラスト】へ繋がり、遅れて出勤したジアンは連行されていくドンフンとすれ違います。
※このときドンフンにとっての【問題:消えた商品券】は、目の前のジアンが持っている状態。
では、なぜジアンはせっかく奪い返した商品券を捨てたのでしょうか。
掃除のおじさん「きっと借金取りは、お前(ジアン)を刑務所に送るために持ち主を探し出す」「そいつがパク部長(ドンフン)と間違えてパク常務(ドンウン)を訪ねたら、お前は終わりだ」
※商品券を奪い返したところで、盗んだ事実は変わらない。このままではやはりジアンは逮捕されてしまう。
この掃除のおじさんが、ジアンの債権者のひとりであることが明かされるのは【第9話】です。
このため、どうして彼がこんなに悲しそうで、こんなに親身にジアンを諭すのか、この時点では視聴者にはわかりません。
それでも、ひとつひとつのセリフやアクションを拾っていくと、ジアンが商品券を捨てた必然的な理由が見えてきます。
・親の残した借金と、唯一の家族・体の不自由な祖母がいる。
【ジアンの目的】
・借金を完済し、自分と祖母の暮らしを立て直す=「人生を取り戻す」
【ジアンの行動】
・商品券奪還後、真っ先に祖母の身を案じる。
最終的にジアンが商品券をゴミ箱に捨てたのは、
連行されていくドンフンが憐れだったからでも、自身の逮捕を恐れたからでもありません。
ジアンが一番守りたいものが、唯一の家族・祖母だからです。
もしもジアンが逮捕されれば、その間、祖母の世話をする人は誰もいなくなります。
それはジアンにとって、利子が膨らむよりも恐ろしいことです。
(この背後にあるのが【第7話】で明かされるジアンは社会制度を知らないという設定)
ジアンの【バックストーリー:生い立ち】を知る掃除のおじさんの「お前は終わりだ」というセリフには、このあたりの事情も含まれているように思います。
また、この一連のシーンのなかでジアンの味方をするのが “酒屋のトラック” であるのも面白いところです。(次に後述します)
【アイテム①】酒:各話で頻出
酒は、いつでもドンフン=”おじさん” たちの味方です。
ドンフンが本音を漏らしたり、嫌な出来事をあやふやにしたりするシーンでは、必ずと言っていいほど登場するアイテムです。
(ブレる映像=酒に飲まれている・逃げていることの演出)
またネガティブなシーンだけでなく、【第8話】では息子に特技をリクエストされてしまったドンフンを救うアイテムとしても登場します。
【アイテム②】ライター:第2話より
ジアンが商品券を持ち込んだ際、グァンイルの手下はライターが見つからずにジアンから目を離します。
(その隙にジアンはリュックの封筒から追加の商品券を出す)
そしてやっとライターを見つけて煙草に火を点け、目を戻した時には、利息分も合わせた2000万ウォンの商品券が机に揃っています。
一方、ドンフンは、賄賂が消えたストレスのあまり、やめたはずの煙草とライターをコンビニで購入します。
そこから1本だけ抜き取ってあとは捨て、ライターを使おうとしますが、なんと火が出ません。
ドンフン:買ったばかりなのに使えない。(不良品に当たる)
あこぎな闇金業者と、真面目な会社員。
こんなところにも理不尽や、ドンフンのツキの無さが窺えます。
第一幕のポイント①|見つかった賄賂に “後悔” するドンフン
【第1話】で届いた賄賂は、「ドンフン→ジアン(窃盗)」と移動し、
【第2話】で、「グァンイル(返済失敗)→ジアン(奪還)→掃除のおじさん(ゴミ箱)→ドンウン(反対派の常務)」へと渡ります。
しかし、【第2話】で焦点が当てられるのは【賄賂事件の結末】ではなく、【ドンフンの賄賂捜し】です。
賄賂がゴミ箱から見つかり、上層部(賛成派と反対派)が話を付けた後も、ドンフン(三兄弟)だけが賄賂を捜し続けます。
ジアンを問い詰めようにも、社内では無視をされ、地下鉄では不審者と思われて他の乗客※に放り出されてしまいます。
※ちなみにこの乗客も “おじさん” です。
この【地下鉄シーン】に【第2話】のポイントがあります。
ドンフン「次の駅で降りろ。……降りろよ」
ジアン「なぜ?」
ドンフン「……カネは? 君だろ? どこにある?」
ジアン「捨てました」
ドンフン「どこに?」
ジアン「ゴミ箱に」
①言葉少ななせいで誤解されるドンフン
ここまでの事情を知る視聴者には違和感のないドンフンのセリフですが、乗り合わせた他の乗客にとっては違います。
傍から見れば、若い女の子を中年男が脅しているようにしか見えません。
このため、乗客=正義感のある他の “おじさん” によってドンフンはホームへ突き飛ばされてしまいます。
②ジアンを信じられないドンフン
ドンフンは、
②食事を奢らされた帰りに「まっすぐ帰って下さい」と言われたこと
この2点から犯人はジアンだと確信しています。
このため、「ゴミ箱に捨てた」というジアンの言葉(真実)をその場しのぎの言葉としか思いません。
③ジアンの言葉は “真実” だったと知るドンフン
無視をされても、電車で突き飛ばされても、それでもドンフンがジアンに付きまとっていた(自力で解決しようとしていた)のは、保身のためばかりではありません。
ドンフンは、盗みによるジアンの解雇を心配しています。(参照:それぞれの盗みと目撃)
(保身のためだけなら、すぐに上司のドンウンにジアンが怪しいと相談すればよかった。)
にもかかわらず、ジアンが白状しない(とドンフンは思い込んでいる)ので、
「話すぞ(=チャンスはやった)」とジアンにわざわざ宣言してから、ドンウン(上司)のもとへ話しに向かいます。
そしてここでようやくドンフンは賄賂が見つかったことを知ります。
(そして “5000万を捨てた男” になる)
ドンフン「……信じないかと」
ドンウン「まったく……そんな調子だから甘く見られる※んだ」
※つまりドンフンは上司の目から見ても舐められている存在
↓
【ドンフンの回想】ジアン「捨てました。ゴミ箱に」
ここで【回想】が挟まれるのは、ドンフンのなかに次の図式があるためです。
(ジアンは「最初から正直に」話していたのに、ドンフンは「信じ」なかった)
本来、ほっとしていい場面でも、ドンフンは真っ先に自身の行いを反省する人物です。
【賄賂事件の結末】を安堵でなく後悔で終わらせるところが、【第2話】のポイントです。
第一幕のポイント②|盗聴のはじまり(ジアンとジュニョンの利害の一致)
賄賂が見つかったことで、ひとまずドンフンは平穏を取り戻しますが、
一方、ここまでのドンフンの【行動】に、ジアンは「呆れ」と「違和感」を覚えています。
・賄賂はとっくに見つかっている(捨てた)はずなのに、執拗にドンフンが追ってくる。
【ジアンの違和感】
・いつまで経ってもドンフンに賄賂発見が知らされない。
(捨てた賄賂は「掃除のおじさん」→「ドンウン」の手に渡り、ドンウンは賛成派であるユン常務を揺さぶるために隠匿している状態)
↑何か裏がある
この答えを知るために、ジアンは再び掃除のおじさんを訪ねます。
掃除のおじさん「……放っておけ。賄賂が罠だったなら解雇は避けられない。パク部長(ドンフン)は誰かに恨まれているんだろう」
そしてジアンはエレベーターでオフィスへ※1戻りますが、
途中、偶然にもジュニョンとドンウン※2が乗り込んできます。
※1:ジアンの人物描写:本来なら “社長と常務にエレベーターを譲るべき” だが譲らない
※2:ジアンにとっては偶然でも、ジュニョンとドンウンには必然。エレベーター到着直前にジュニョンがドンウンを【社長室へ誘うシーン】が描かれる(賄賂事件に対する会長の「不問に処せ」という指示を伝えるため)
↑の最中、別の携帯のバイブ音が鳴り始め、ドンウンは自分の携帯ではないことを確かめる。
②通話していたジュニョンが電話を切る。バイブ音は鳴ったまま放置される。
③ジアンがジュニョンのポケットから携帯を盗む。
何が起きたかというと、
②ジュニョンは電話に出られない。
(なぜなら不倫(ユニ)用の携帯だから。隣にはドンウンもいる)
③ジアンはそれが ジュニョンの弱み だと見抜き、ドンウンの目を盗んで携帯を盗む。
(ジュニョンは盗られたことに気付きながらも抵抗できない=弱みだから)
これをきっかけに、ジュニョン(社長)とユニ(ドンフンの妻)が不倫関係にあることをジアンは掴みます。
↑このためにはお金が必要
【ジュニョンの目的】社長解任回避
↑このためには反対派(ドンウンやドンフン)を減らしたい
ジアンには「人を陥れるスキル」があり、ジュニョンには「お金」があります。
この利害の一致から、二人は結託し、反対派排除のために暗躍を始めます。
そして【第3話】からいよいよジアンのドンフンに対する盗聴が始まります。
【ドンフンの恐怖】”恥” をかくこと(人目や噂)=プライドを失うこと
賄賂事件での後悔から、ドンフンはお詫びにジアンを食事に誘います。
一度目は断られますが、その後のジアンからの呼び出しで食事をし、帰りの地下鉄では「ありがとう」とお礼も伝えます。(第2話ラスト)
ドンフン視点では誠実な行動ですが、
ジアンの行動を知る観客にとっては、相変わらずの “報われないおじさん” です。
一度目の誘いをジアンが断ったのは、ジュニョンを脅しにいく予定(個人用携帯)があったからです。
そこで利害の一致からジュニョンと結託したジアンに対して、ドンフンは何も知らずに「ありがとう」と感謝している状態です。
そして別れ際、ドンフンはジアンにあるお願いをします。(第3話冒頭)
これに対してジアンは「夕食を一か月。お酒も」と対価を要求します。
難しい要求ではありませんが、これを断るところに今作で【重要なポイント】となるドンフンが一番怖いものが何かが現れているので下記に引用します。
ジアン「……夕食を一か月。お酒も」
ドンフン「それなら――カネを払う。変な誤解を招きたくない」
ジアン「自分がモテるとでも?」
ドンフン「噂が立つ」
ジアン「いくら?」
ドンフン「希望は?」
ジアン「1000万」
ドンフンにとって恐ろしいのは、「人目」と「噂」=つまり “恥をかくこと” です。
これは、ドンフンに限ったことではありません。
“恥=プライドが傷付けられること” は、“おじさん=大人” なら誰もが恐れていることです。
↑【視聴者の共感ポイント】
こうして一度は分割払いで応じようとするドンフンでしたが、
「誘惑は怖い?」というジアンの挑発に反発する形※で、「賄賂は君が捨てたと話せ」と食事も支払いも拒否します。
※長男・サンフンに「誘惑に強いお前が道を踏み外すわけがないよな」と言われたことが尾を引いている。ドンフンの「誘惑に強いから道を誤らなかったと?」というセリフは “これまで誘惑すらなかった” ことを匂わせている。(【第6話】早朝サッカーでパスをもらえないドンフンに繋がる【伏線】)
しかし、この展開はジアンにとって都合のいいものではありません。
なぜならジアンには、ドンフンを退職に追い込むための弱みが必要だからです。
結果、無理やりキスをされ、潜んでいたジアンの仲間に写真を撮られてしまいます。
(しかし、最後まで写真の存在はドンフンに知らされない)
【ジアンのプライド】を傷付ける【ドンフンのプライド】
先述した【シーン】のセリフは、次のように読むこともできます。
ジアン「……夕食を一か月。お酒も」
ドンフン「それなら――カネを払う。変な誤解を招きたくない」
ジアン「自分がモテるとでも?」
ドンフン「噂が立つ」
第2話のラストで、ジアンはジュニョンに対し「たかるのは嫌だから仕事を下さい」と言います。
貧乏育ちのジアンにとっては、「たからないこと」がプライドだからです。
(だからこそ単純に不倫で脅さず、反対派への悪事に加担する)
つまり、「カネを払う」というドンフンのプライドを守るための一言は、ジアンのプライドを傷つけている。
ここにも、世の中の生きづらさ(ex.仕事か家庭か、実家か妻か、家族か友達か…)、その気はなくても傷付けてしまう難しさが描き込まれているように思います。
【第二幕】”知られる怖さ” と “知らないふりの優しさ”
『マイディアミスター』の【第二幕】は第4~14話にかけて描かれます。
【第5話】月を見た夜
【第6話】妻のコートの香り
【第7話】敵に与えた逃げ道
【第8話】惨めな別れ
【第9話】拳の中の涙
【第10話】昇進への決意
【第11話】机の中のプレゼント
【第12話】哀れな者同士
【第13話】兄弟の痛み
【第14話】4回以上の親切
ここでのストーリーを【要約】すると、
②ジアン:借金取りに殴られながらも領収書を獲得する(=借金の減額)
③ドンフン:妻の不倫を知り、 “知らないふり” を始める
④ドンフン:ジアンが賄賂を “盗んでいたこと” を知る
↑ジアン:“知られたこと” を知る
⑤ドンフン:ジアンを守るために借金取りと戦う
↑ジアン:ドンフンを守るために戦い始める
⑥ジアン:借金完済
↑【ジアンの目的】ドンフンの昇進とジュニョンの解任に変わる
⑦ドンフン:妻に “知らないふり” がバレていることを知る
⑧ドンフン:会社に行けなくなり、親友のいる寺へ逃げ込む
⑨ドンフン:親友「心に従え」を信じて、実行する
⑩ドンフン:妻に不倫を打ち明けられた上、兄弟にまで知られてしまう
⑪ジアン:ドンフンを昇進させるも、警察の手が迫り、姿を消す
↑ドンフン:部長から常務へ昇進する
⑫ドンフン:ジアンの盗聴を知る
↑ジアン:ドンフンに盗聴を知られる
ここまでが【第二幕】です。
【ドンフンの最悪】家族に “恥” を知られること=大人の弱み
ジアンにキスをされたドンフンは、翌日、ジアンをクビにしようとします。
(↑賄賂事件のときは躊躇った解雇にすぐに乗り出す:第4話)
ドンフン「(キスされたからとは言えずに)…品行が悪いので」
ユン常務「ここに品行方正な奴が?」
※本来なら “品行方正であること” が正しいはずなのに通用しない会社(=社会)。
ドンフンは耳を傾けてもらえない上、ジアンにまでも痛いところを突かれてしまいます。
私と同類に見えたからキスをした(本当は弱みを握るため)と言うジアンに、
ジアン「おじさんの親は知ってます?」
「口を慎め」とドンフンは立場の差(上司と部下・年上と年下)を使って言い返しますが、
結局「今度やったらクビにする」と脅すことしかできずに退散します。
上司(ユン常務)にも部下(派遣社員のジアン)にも、相変わらずうだつの上がらない “おじさん” の姿が描かれますが、
ここにはもう一つ、ドンフン最大の弱みが隠されています。
↑それが自分の弱みだから聞く
ジアン「おじさんの親は知ってます?」
↑しっぺ返しを食らう
たとえ会社で誰よりも「退屈そう」で「不幸そう」に見えようと、ドンフンは気にしません。
そのことを “親=家族” に知られない限り、ドンフンにとって “恥” にはならないからです。
(参照:【ドンフンの恐怖】”恥” をかくこと(人目や噂)=プライドを失うこと)
このように、第4話の前半では “ドンフンの最悪は何か” が視聴者に提示されます。
そして、“家族に知られないこと” がドンフンにとってどれだけ重要かが、このあとの後半部分で描かれます。
【第4話・後半】ドンフンの地雷|長男に起きる “家族への露見”
長男・サンフンは三男・ギフンと共に、友人の清掃業を引き継ぎます。(第3話)
しかし、不注意から顧客(清掃先の住民)に土下座を強要されてしまいます。
ここで【問題】となるのは、土下座をしたことではなく、それを母親に目撃されてしまったという点です。
長男・サンフンはどんなに不安な時でも(無理にでも)笑い続ける人です。
(これに対し、三男・ギフンは不安になると激怒する人)
※どちらも【第1話のドンフンの賄賂紛失】の際に描かれる。
にもかかわらず泣いてしまう長男・サンフンに、兄弟は何かが起きたと勘付き、白状させます。
“家族に知られること” に恐怖するドンフンにとって、【母親への露見】は一大事です。
(参照:【ドンフンの最悪】家族に “恥” を知られること=大人の弱み)
自分の事のように心を痛めます。
ここからの【展開】は、①長男と母親の現行視点、②ジアンの盗聴視点、③ドンフンの過去視点(回想シーン)で一気に描かれます。
①長男と母親 ・土下座を母親に目撃される |
②ジアン ・グァンイルと揉み合う ・殴られるが、領収書と「今後、無断侵入はしない」を獲得する |
③ドンフン ・長男の土下座の露見を知る (町の仲間から、住民が誰か聞き出す) |
↓翌日
①長男と母親 ・母親は知らないふりをし、兄弟もこれまで通りにふるまう |
②ジアン ・小指の骨折で発熱、倒れ込む ・痛みを酒で誤魔化す |
③ドンフン ・これまで通りに出勤 ・(心の)痛みをタバコで誤魔化す |
↓コンビニで行き合って、
・ジアンに言ってみて初めて、ドンフンは酒やタバコは薬にならないと気付く
※だからタバコを吸わずに捨てて歩き出す
↓
①長男と母親 ・住民がなぜか謝りに来る |
②ジアン ・ドンフンの盗聴記録を遡り、何があったか知る |
③ドンフン ・住民を訪ねて「謝れ!」と大暴れする |
ここまでの【第1~3話】からは想像もつかないドンフンの行動に、視聴者がジアンと一緒に目を見張る面白い構成になっています。
そして、ドンフンはその帰り道に涙します。
・一日経ってようやく、三男・ギフンのように激怒する
・相手が謝罪をしてようやく、長男・サンフンのように泣く
人より遅れて感情的になるのが、次男・ドンフンの【人物像】であることが描かれます。
#マイディアミスター
ジアンの “黒猫感” も個人的には作品の見所♡カワイイだんだんご飯をもらった捨て猫みたいに懐いていって
〖ep9〗では “音” で帰りを知って走りだす🐈⬛でも、野良猫だから中には入れない。
大人の恥描写、猫の暗喩、他作品の暗喩…
この辺りもマイディアの凄み#ユリイ韓ドラ https://t.co/N9grgCIlsR— ユリイカ@映画垢ときどきFF16 (@yureeca_) October 28, 2023
【第三幕】”誠意” が報われる結末|ふたりの再出発
『マイディアミスター』の【第三幕】は第15~16話にかけて描かれます。
【第16話】尊い縁
ここでのストーリーを【要約】すると、
↑ジアン:ドンフンに見つかり謝罪する
②ドンフン:ジアンのために全てを警察に明かす(=不倫の社会的露見)
↑ジアン:ドンフンのために盗聴データ(自分を守るための証拠=ドンフンを傷付ける証拠)と盗聴アプリ(ドンフンとの繋がり)を消す
③バイク便(借金取り・グァンイル)で盗聴データのコピーが届き、ジュニョンは有罪になる
【結末】ドンフン:新たな場所(独立)でやり直す(一人で思う存分に泣く)
【結末】ジアン:新たな場所(転勤)でやり直す(ドンフンに奢る約束をする)
ここまでが【第三幕】です。
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【参考サイト一覧】
・나의 아저씨 – 나무위키 (namu.wiki)
・나의 아저씨 | tvN (cjenm.com)
・「マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜」公式サイト (mydearmister.jp)
・マイ・ディア・ミスター〜私のおじさん〜 – Wikipedia
・実は大人たちの成長物語 ?ドラマ『マイ・ディア・ミスター~私のおじさん~』 – 集英社新書プラス (shueisha.co.jp)
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