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【完全解説】るろうに剣心 最終章 The Beginning【8】剣心の再生

るろうに剣心 最終章 The Beginning|大友啓史監督

こんにちは、ユリイカです。
『るろうに剣心 最終章 The Beginning』のストーリーを、シーンごとにネタバレありで解説していきます。
第8回目となる今回でストーリー解説は最終回となります。
※ネタバレなしの解説は、【完全解説】るろうに剣心 最終章 The Begining|【1】ストーリー解説(ネタバレなし)をご参照ください。

【追記】
Twitterアカウントの方で地上波発放送当日の様子をご覧いただけるよう、モーメントにまとめました。当日リアルタイムで参戦できなかった方は、ぜひお役立てください。

桂との再会、剣心の決意

数日後、芝刈りから剣心が戻ると縁側でが待っていました。
※なぜ剣心が芝刈りから戻ったかと言うと、それは巴の火葬のためです。

桂「片貝が殺された。内通者は飯塚であった。すでに追手は差し向けた」

この追手こそ、第2・3作『京都大火編・伝説の最期編』で剣心と対決する志々雄真実(藤原竜也)です。

桂「酷だが、これまで以上に剣を振るってもらう
剣心「ここで剣を捨てれば、これまで奪った命が無駄になる

こうして剣心は再び、新時代のための戦いの中に身を投じていきます。

手を洗う剣心

桂との話の最中、剣心はおもむろに手を洗い始めます
これは、小萩屋にいた頃(=人斬り時代)の剣心のルーティンです。

言葉では桂の要望に応える一方で、「剣を振るう」=「人斬りに戻る」という現実に剣心は思わず手を洗ってしまう

心を殺して、責務を果たす
その覚悟葛藤を表す深いシーンとなっています。

巴が剣心に残したもの

桂を見送り、剣心の戻った家の奥には、巴の遺体が安置されています。
そこで剣心は巴の日記を読み返します

巴の回想とともに、今日までの数日間の剣心の生活シーンが挿入されます。
※ネット上で “巴の遺体と何日も暮らしていた” という解釈もたまに見かけますが、私は上記のように解釈しています。

剣心のひとり暮らし

巴と暮らしていた頃のように、
剣心は料理をし、食事をし、縁側からの景色を眺めます

このシーンが意味するものは、剣心が再び取り戻した “感覚” に他なりません。

たとえ巴を失っても、巴から学んだ “生き方” までは剣心は失っていません
だからこそ、日記を読み終え、立ち上がった剣心の後にはが活けられている

全ては小萩屋で巴が剣心のためにしたこと。それを剣心はしっかりと胸にしまって旅立ちます。

剣心の衣裳

『るろうに剣心』シリーズでは、衣裳の色が心情とセットで変化します

:人斬り時代の剣心

灰色:巴とふたり暮らしの剣心

:巴の裏切りを知った際の剣心

:巴を追って辰巳のもとへ向かう剣心

灰色:桂と会話する剣心・巴の亡きあとも生活をする剣心
そして、巴を荼毘に付し、戦いに戻る剣心の衣裳
しかし、このは、これまでの黒とは意味が異なります
前述したように、今の剣心の中には巴がいます
巴はもちろん、これまで奪ってきた命、これから奪う命に対する、喪服の黒のようなニュアンスがあるように思います。

そして、新時代へ

4年の月日が流れ、時は1868年1月 鳥羽伏見の戦い(戊辰戦争の始まり)。
そこには討幕軍として未だ戦い続ける剣心の姿があります。

倒幕軍は「錦の御旗」を掲げ、これによって旧幕府軍・新選組は敗走、
新政府軍が勝利し、ようやく新時代(=明治)が訪れます。

再会する剣心と斎藤一

本作では、第1作から登場している斎藤一(江口洋介)のバックストーリーも描かれています。

斎藤にとっての剣心は、池田屋事件以来、ようやく再会できた人斬り抜刀斎です。
しかし、剣心はもうあの頃の剣心とは違います

(巴の死後の桂との会話)
剣心「新時代が来たらその時は……」
桂「剣を捨てる、か」
剣心「……わかりません。ただ、もう二度と、人は殺めない
この言葉通りに、剣心は斎藤の目の前で剣を捨てます。
当然、何も知らない斎藤には理解ができません
その結果が、第1作での剣心と斎藤の戦いの最中の会話です。
斎藤「人斬りが人を斬らずして、どうやって人を守る
剣心「拙者は過去を捨てた身もう人は斬らぬ

完全なループ構造となったシリーズ5作

剣心「来たか、新しい時代が。やっと」

第5作目である『The Beginnig』はこのセリフで終わり、
第1作目である『るろうに剣心』はこのセリフに始まります。

【テロップ】
その男は、動乱の終結と共に姿を消した。一人の流浪人となって――。

彼が再び姿を現すのは、十年後のことである――。

第1作目から本作公開まで約10年。
奇しくも、人斬り抜刀斎が姿を消し、再び “るろうに” となって現れるまでも10年です。

邦画でこれだけのリアルな時間経過と共に完成した映画、こんなにも細部まで作り込まれた映画、更には実写化でこれだけの成功を収めた映画はほかにありません。

大友監督、谷垣監督、主演の佐藤健さんをはじめとしたキャストの方々はもちろん、
映画製作には他にも途方もないスタッフの方々が従事しています。
(第1作目と第4・5作目のエンドロールの情報量を比べていただければおわかりになるかと思います)

その道のプロの方々が、約10年ものあいだ心血を注いだ作品です。
ぜひお手元に置いて、これからも繰り返し、長く楽しんでいただけたらと思います。

以上で「ストーリー解説」は終わりになりますが、まだまだ補足したいことは山ほどあるので、随時更新していくつもりです。
ここまでお付き合いいただき、ありがとうございました。

(使用写真:https://twitter.com/TeamOTOMO/status/1418370328028356611 )